任意整理で和解締結,個人再生での再生計画認可を受けると,そこで専門家の業務はひと段落なのですが,ご依頼者様にとってはこれから返済が始まるというスタートラインに過ぎません。
専門家に依頼した場合,この後の対応が専門家によって大きく変わってきます。大きくわけて2通りあり,更に細かくわかれていきます。

【この記事を書いた人】
神沼 博充(かぬま ひろみつ)。札幌債務整理相談センターの相談・交渉・書類チェックを担当する司法書士。平成20年頃から債務整理に携わる大ベテラン。借金問題を解決するだけでなく、借金をつくらない暮らしを提案し、相談者と二人三脚で歩むことを心がけている。
内容まとめ
・借金を債権者に返す(お金を振り込む)ことを代行する「返済代行」というサービスが存在するが、その場合は手数料が発生する
・返済代行を使うか使わないかは個人の自由
・札幌債務整理相談センターは「返済代行手数料を払うくらいなら生活費にまわしたほうがいい」と考えている
(1)委任関係を終了する場合

和解締結もしくは再生計画認可を以って,専門家とご依頼者様の代理関係を終了します。以降は債権者への返済も,事務連絡の対応もご依頼者様自身で行う必要があります。
(2)委任関係を継続する場合

和解締結もしくは再生計画認可を以っても,引き続き代理関係は継続します。「代理関係が継続しているという事=債権者がご依頼者様に直接連絡できない」ということになります。
委任関係継続にあっては,返済代行サービスを同時に行っている専門家が多いと思います。返済代行については以下の通りです。
①返済代行を専門家が行う場合
返済代行とは,本来ご依頼者様が自身で各債権者に返済金を振り込む必要があるのですが,それを専門家で代わりに行います。
この場合,振込を一括で行える点とご依頼者様と専門家の間では代理人契約が継続しているので,債権者との間で連絡を要する場合は専門家が対応することになります。
一方で,専門家に対して「所定の事務手数料を払う」ことが多いので経済的に負担となります。
②返済代行をご依頼者様で行う場合
返済自体はご依頼者様自身で行う必要があります。但し,債権者からご依頼者様への連絡は出来ない状態になっていますので,ご家族に発覚するなどのストレスはない状態になります。
弊所では以前より,基本的には「返済代行はご依頼者様にお願いし,委任契約のみ継続」しております。理由としては,「債務整理の目的はあくまでも完済である」という信念のもとで完済までの道のりを伴奏させて頂きたいという想いと「返済代行で手数料を頂くのであれば,その分を生活再建に回すべき」という考えからです。
専門家を選ぶ際に着眼する点として,「費用」や「担当者の人柄」「事務所の立地」といった面もあると思いますが,業務終了後の取り扱いもポイントに加えてみることをお勧めします。