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【2021年最新版】消費者金融業界の動向について(9月現在)

消費者金融業界の最近の動向をお話しさせていただきます。

過払い金返還がひと段落

いわゆるグレーゾーン金利が違法とされ、平成18年頃から「過払い金返還請求ブーム」が起き、全国的に過払い金返還請求が多く発生しました。

消費者金融や信販会社はこれらの返還と金利を引き下げ(出資法の29.2%から20%、10万円以上の貸付けにおいては18%)を余儀なくされ、経営を圧迫しました。

また、「総量規制」という多重債務を抑制するための制度が出来て、消費者金融や信販会社(クレジットカード会社も含む、以下同じ)に対し、顧客への年収の3分の1以上の金銭貸付けが禁止され、消費者金融のシェアが少なくなってしまいました。

ただしこの総量規制は実はあまり意味がないと思われます。何故なら、クレジットカードの立替金、物販の分割、銀行のカードローンなどは含まないためです。この問題は別にご紹介します。

総量規制の影響をもろに受けた大手消費者金融の多くは経営難に陥り、有人店舗の縮小・閉鎖・事業整理に追いやられました。

  • 武富士が会社更生手続きを経て法人格が消滅(事実上「潰れた」状態)
  • アイフルが事業再生ADRを利用し事業を再建
  • アコム/プロミス(社名はSMBCコンシューマーファイナンス)はメガバンクの傘下に
  • レイクは新生銀行グループに吸収

こうした事業の再編を経て、武富士を除く4社は何とか各社が大転換時代を切り抜けたという状況です。
ただし、体力の少ない中小の消費者金融は、数多く事業の停止に追い込まれています。

他にも消費者金融には「過酷な取り立て」がマスコミで報じられるなど、平成後期の消費者金融は大きな逆風が吹き荒れていたと言えます。

ただし、大手消費者金融は過払い金請求がひと段落してきたことや、一時期よりは景気が上向きになってきたこと、後述する保証業務なども重ねて復調傾向にあるようです。

もっともこの傾向は新型コロナウイルス感染症の拡大前までの話で、いわゆるアフターコロナになったときにどのような状況になるかは依然として不明瞭です。

アフターコロナの動向について

おそらくコロナ禍中よりも、アフターコロナの方が消費者金融業界の状況は悪化すると思われます。その理由としては以下の通りです。

  1. コロナ禍においては公的な支援・貸付けも充実している
  2. 世相柄、債権者も条件の緩和(返済月額の減免など)に応じるケースがある
  3. コロナ禍で初めて借入れせざるを得なくなった債務者層は、まだ辛うじて返済不能には陥っていない

①については社会福祉協議会等が収入の減った世帯に対し無利子、返済開始が一定期間据え置きになっている貸付けを行っています。

他にも自治体独自の支援、貸付けも行われており、現時点においては「償還が始まっていない」ものも多くあるため、これらの貸付け終了、返済が開始されると一気に返済不能に陥る方が増えるのではないかと思われます。

②については、住宅ローンをはじめ多くのローンで返済条件の緩和(月額を利息部分だけにして、元金は減らないけれども遅延にもならない、というケースが多いです)がなされているので、取り合えずやり過ごすことが出来ているパターンです。

通常通りの返済に戻さざるを得ないタイミングで収入が回復せず返済不能に陥る方が増えることが予想されます。

③については、コロナ禍で借入れし、アフターコロナで完済することを想定しているものの返済できるだけの資力が回復せず徐々に返済不能に陥るケースも想定されます。

実際に法人や事業主においてアフターコロナにおいてもコロナ前のような状態に戻らない、コロナで借入れした資金の弁済期が到来しているが返済できないといった事情で倒産、廃業も増えているようです。個人レベルでも既にこのような状況の方はおられるかと思いますが、今後も増えていくのではないかと予想されます。

そうなった際にはまた業界全体が動くのかもしれません。

収益確保に苦しいのは消費者金融だけではない?

先述したように、消費者金融業界を巡る情勢は近年よくありませんでした。
しかし、近年は少し持ち直しているようで、テレビやインターネットでの広告もよく見かけるようになりました。

貸金で言うと、銀行も無担保小口のカードローンに力を入れています。
金利が低い状態が恒常化しており、収益の確保のためサービスの多角化や支店や部署の統合などを進めざるを得ない状況です。

そのような中でカードローン事業は高利率で貸付けが出来ることから収益源として積極的にプッシュしている銀行が多いです。

実態としては融資及び返済専用のカードが貸与されるのでほぼ消費者金融と変わりありません。しいて言えば、金利が若干低い程度でしょうか。

そもそも銀行系のカードローンの場合は保証会社(消費者金融か信販会社)がついており、事実上与信審査のノウハウは保証会社によって供されます(ただし、審査基準は銀行によるので、同じ保証会社の商品でも銀行によって審査結果は変わる場合があります)。

北海道の銀行で言えば北洋銀行(アルカ)はプロミス(契約が古い場合はMU信用保証である場合があります。)、北海道銀行(ラピッド)はアコムが保証会社です。

銀行カードローンの問題点とは?

先ほども述べたように、多重債務に苦しむ方が減るように「総量規制」という制度が出来て、消費者金融や信販会社の貸金に対し規制をかけたのですが、銀行の貸金には規制がかかっていません。

つまり、銀行のカードローンは収入の3分の1以上を貸し付けることが法律上は可能なのです。
これは、総量規制は貸金業法によって設けられているものであり、銀行に対しては貸金業法ではなく銀行法が適用されるためです(余談ですが、信販会社の分割払いやリボ払いについては「割賦販売法」が適用され、やはり貸金業法は適用されません)。

つまり多重債務の問題は銀行カードローンによって再燃してしまったのです。

そこで平成29年に全国銀行協会が「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を発出しました。
厳密に総量規制を遵守した対応までは求められていませんが、それに準じた対応をするよう暗に求める趣旨の内容です。

また、銀行カードローンで返済不能状態に陥った場合、損害を被るのは代位弁済する保障会社です。つまり消費者金融や信販会社の懐が実際に痛みます(厳密には利息の中に保証料が組み込まれているのですが、保証料の額は利息の額よりも少ないわけですから、ただでさえ自社で貸し付けるよりも低い利率で貸し付けているのに、その中の保証料収入となると保証会社の儲けは決して多くはないのです…)。

以上が、直近の消費者金融業界の動向です。
やはり貸金のグレーゾーン金利撤廃と総量規制は多くの債権者に影響を及ぼしています。

恐らく今後も今までより緩くなることはないものと思います。徐々に任意整理がやりづらいようになっていくのだろうと思います。

当事務所では、債権者の動向にもアンテナを張りつつ、ご依頼者様の借金問題を共に考えていく存在でありたいと考えております。

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