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【2024年9月最新版】消費者金融業界の動向について

消費者金融業界の最近の動向をお話しさせていただきます。

過払い金返還がひと段落

いわゆるグレーゾーン金利が違法とされ、平成18年頃から「過払い金返還請求ブーム」が起き、全国的に過払い金返還請求が多く発生しました。大規模な司法書士、弁護士事務所の広告もインターネット、テレビ、ラジオ、新聞等で多く掲載されるようになり、一般の方も「過払い金」という言葉を広く認知するようになりました。

これにより消費者金融や信販会社は過払金の返還と金利を引き下げ(出資法の29.2%から20%、10万円以上の貸付けにおいては18%)を余儀なくされ、経営を圧迫しました。

また、「総量規制」という多重債務を抑制するための制度が作られ、消費者金融や信販会社(クレジットカード会社も含む、以下同じ)に対し、顧客への年収の3分の1以上の金銭貸付けが禁止され、消費者金融のシェアが少なくなってしまいました。
(ただしこの総量規制は実はあまり意味がないと思われます。何故なら、クレジットカードの立替金、物販の分割、銀行のカードローンなどは含まないためです。この問題は別にご紹介します。)

過払金と総量規制の影響を受けた大手消費者金融の多くは経営難に陥り、有人店舗の縮小・閉鎖・事業整理に追いやられました。

  • 武富士が会社更生手続きを経て法人格が消滅(事実上「潰れた」状態)
  • アイフルが事業再生ADRを利用し事業を再建
  • アコムとプロミス(社名はSMBCコンシューマーファイナンス)はメガバンクの傘下に
  • レイクは新生銀行グループに吸収

こうした事業の再編を経て、大手の消費者金融は武富士を除く4社が何とか大転換時代を切り抜けたという状況です。
体力の少ない中小の消費者金融は、数多く事業の停止に追い込まれています。

他にも消費者金融には「過酷な取り立て」がマスコミで大々的に報じられるなど、平成後期の消費者金融は大きな逆風が吹き荒れていたと言えます。近年はこれらの悪いイメージは薄れてきており、規制はあるものの各社イメージの良いタレント等を起用したCMを流す、ホームページを充実させる等時代に即した広告、商品設計をするなどして悪い時期は抜け出したといえます。

収益確保に苦しいのは消費者金融だけではない

貸金で言うと、銀行も無担保小口のカードローンに力を入れています。
金利が低い状態が恒常化していること、ネット系銀行の台頭もあり、特に既存の銀行は収益の確保のためサービスの多角化や支店や部署の統合などを進めざるを得ない状況です。

そのような中で銀行にとってはカードローン事業は高利率で貸付けが出来ることから収益源として積極的にプッシュしている銀行が多いです。実際に銀行系のカードローンのCMやネット広告はよく見かけます。

銀行の事業ではありますが、実態としては融資及び返済専用のカードが貸与されるのでほぼ消費者金融と変わりありません。しいて言えば、金利が若干低い程度でしょうか。

そもそも銀行系のカードローンの場合は保証会社(消費者金融か信販会社)がついており、事実上与信審査のノウハウは保証会社によって供されます(ただし、審査基準は銀行によるので、同じ保証会社の商品でも銀行によって審査結果は変わる場合があります)。

北海道の銀行で言えば北洋銀行(アルカ)はプロミス(契約が古い場合はMU信用保証である場合があります。)、北海道銀行(ラピッド)はアコムが保証会社です。

銀行カードローンの問題点とは

先ほども述べたように、多重債務に苦しむ方が減るように「総量規制」という制度が出来て、消費者金融や信販会社の貸金に対し規制をかけたのですが、銀行の貸金には規制がかかっていません。総量規制は貸金業法によって設けられているものであり、銀行に対しては貸金業法ではなく銀行法が適用されるためです(余談ですが、信販会社の分割払いやリボ払いについては「割賦販売法」が適用され、やはり貸金業法は適用されません)。

つまり、銀行のカードローンは収入の3分の1以上を貸し付けることが法律上は可能なのです。多重債務の問題は銀行カードローンによって再燃してしまったのです。

平成29年に全国銀行協会が「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を発出しました。

厳密に総量規制を遵守した対応までは求められていませんが、それに準じた対応をするよう暗に求める趣旨の内容です。

また、銀行カードローンで返済不能状態に陥った場合、損害を被るのは代位弁済する保証会社です。従って、債務不履行に陥った際に任意整理等行う場合には、消費者金融や信販会社と交渉することが多いです。

任意整理による償還不能の債務者が増えた

統計があるわけではありませんが、任意整理を行った層が完済できないケースは一定数あります。債権者からすれば任意整理によって将来利息を0%として完済まで債権を管理するのは管理コストの面から問題があると言えます。

そのため、近時では任意整理時に将来利息を求めてくるケースが増えています。

また、分割回数も以前であれば5年60回が原則で、それ以上の回数は消費者金融は交渉次第、信販会社は多くの会社が応じていましたが、近年は上限が60回でそれ以上はハードルが高いケースが増えています。

ほか、安易な債務整理を推奨するような事務所も増えている影響もあってか、借入れ内容が悪い(例えば借入れ当日に債務整理を依頼する、多額の買い物をクレジットカードでする等)場合には頭金を要求するケースもあります。

まとめ

消費者金融の取り巻く状況は底を脱したものの、債務整理に対しての取扱いは年々厳しくなっています。恐らく今後も今までより緩くなることはないものと思われ、任意整理がやりづらいようになっていくのだろうと思います。

そのため、近時では任意整理時に将来利息を求めてくるケースが増えています。

当事務所では、債権者の動向にもアンテナを張りつつ、ご依頼者様の借金問題を共に考えていく存在でありたいと考えております。

⇒近年の債務整理時における債権者の動向については以下をご覧ください

【2024年7月最新版】債権者の業界動向について その1

【2024年7月最新版】債権者の業界動向について その2