
多重債務に陥ってしまい、気づけば借金の額が300万円になってしまった…という方もおられます。
借金300万円というと、人によっては総支給の年収を上回る金額です。そういった方は毎月受け取っているお給料(手取り月収)を全部返済に回しても1年じゃ返せない金額です。そう考えると途方もない金額です。
人によって収入や支出の条件はまちまちなので一概には言えませんが、300万円まで債務が膨れてしまうとほとんどの方が返済していくのに苦慮します。
貸金業法では「総量規制」という制度があります。総量規制とは貸金業法に基づく貸金業者は「本人の年収の3分の1以上貸してはいけない」という決まりです。
法律でそのように決めているということは、言い換えれば年収の3分の1を超える債務があると返済が困難になる、つまり年収の3分の1が返済していけるかどうかの一つの境目になると言えます。
そう考えると300万円は900万円の3分の1に相当する金額です。
一般に年収900万円というと高所得者に分類されます。
つまり、多くの方にとって300万円の借金というのは「返すのが難しい金額の借金」ということが言えます。
借金300万円を抱えてしまったときに取るべき行動とは?
300万円の借金という部分だけをまず切り取ってお話すると、300万円を無利息で月5万円返していくとすると5年(60か月)かかります。
実際に返していくとなると利息もかかりますので、毎月5万円を返しても相当な期間がかかることがわかります。
期間が長期化するのも考慮しなければいけません。
例えばですが、「来月だけ5万円返してください」と言われればどうにかして返せる人はいます。ただ、5年間毎月欠かさず5万円返すとなると相当厳しいものになります。毎月固定費で5万円出ていくということは家賃が余計に5万円かかるということと同じ意味です。家賃で5万円ということは人によってはもう一軒部屋を借りているのと同じことです。
従って、大変な金額ですから闇雲に返していってもその場しのぎにしかなりません。
まずは現状を把握する
借金の額を正確に把握するのと同時に、利息や約定弁済月額も確認すると良いでしょう。
これらを参考に「毎月いくら返したら、いつ完済になるのか?」ということを考えてみましょう。この時に「利息を考慮していない」ことや「追加で借入れしてしまう」ことで「思っていた計画と違う」「返しても返しても借金が減らない」と悩んでしまう方もおられます。
努力しても我慢しても借金が減っている実感がないとやがて精神的に疲弊してしまいます。
返済計画の重要性
返済していくにあたって返済計画を立てましょう。返済計画はきちんと見えるようにして、定期的に進捗を確認するのが良いです。
借金が減っているという実感は返済へのモチベーションを高めるうえで非常に重要なことです。
借金300万円の返済方法とは?
先程も述べたように300万円を利息等を考えずに月5万円で返しても5年かかります。債務整理によらず自力で返していく場合には多くの場合利息がかかります。
例えばですが、年利15%として、300万円を月5万円で返すとなると、114回(9年4カ月)かかります。支払総額は大体558万円なので、1.86倍程度の返済をすることになります。
仮にこの条件(年利15%、300万円)で5年で返し終わろうとすると月に7万2000円ほど返す必要があります。※元利均等返済の場合、あくまでもシミュレーションなので実際の返済計画とは異なります。
従って、債務整理することが現実味を帯びてくるような状況です。
任意整理で分割和解する場合
任意整理の相場として最近はあまり合致しないことも増えましたが「和解日までの元利合計を無利息で5年(60回)で返す」というのが一つの目安です。
目安に当てはめると先程の例でも挙げたように月に5万円(和解日までの利息考慮したら5万円強)です。
現在の状況に比べ月額が下がって5万円であれば返して行けるのであれば一つの方法ですし、また将来にわたる利息が0%になるのであれば月額が変わらなくても大きなメリットと言えます。
ただ、金額が大きいので、実際に履行していけるかどうかは慎重に考える必要があります。
個人再生を申立てする場合
個人再生は債務の5分の1、100万円、申立人の財産(清算価値)相当額の一番高い額を上回る再生債権を原則3年で返済していく方法です。(小規模個人再生の場合)
債務の5分の1は60万円、申立人の財産は人による…なので、ここでは100万円として一旦考えます。
100万円を3年(36回)で分割すると毎月の返済額は2万8000円くらいです。
先程の任意整理と比べると月額も返済総額も結構メリットがあります。
但し、個人再生は財産額の計算をしなければいけないこと、小規模個人再生の場合は反対する債権者の議決権が多いと不認可になることなど検討すべき事項も多いです。
自己破産を申立てする場合
自己破産は本人の財産を換価処分して、なおも返済できない場合は返済不能として残った債務を免責(返さなくていいということ)する制度です。
債務整理の方法としては最もメリットが大きいものですが、職業制限を考慮すべきことなど検討すべき事項も多いです。
借金300万円抱えた状況で考えなくてはいけないこと
基本的にこれ以上債務を抱えてしまうと自己破産か個人再生しか選択の余地がなくなります。
従って、人によりますが多くの場合は「後がない状態」です。
ここまでくると自力での解消は難しいため、早めに専門家に相談すべきでしょう。
借金300万円を抱えたときの相談先一覧
司法書士・弁護士事務所での債務整理相談
先程も記載した通り、司法書士・弁護士で債務整理を扱っている事務所であれば初回相談無料の先が多くあります。
債務整理受任時には原則対面と司法書士会でも弁護士会でも定められていますから、対面できる事務所に行くのがよいでしょう。
自治体の無料相談窓口を利用する
自治体でも消費者問題(借金問題)の無料相談窓口を開設している地域もあります。
詳しくはお住まいの各自治体に問い合わせてみてください。
信頼できる借金相談先について
借金の問題は非常にデリケートで、また慎重に対処する必要があることから、しっかりした専門家に相談すべきです。
ネット上には色々な人がいて貸金業者や闇金を紹介するような人や闇金業者自体が多く存在します。そういった非合法な先に相談してしまうと違法行為の餌食になってしまう可能性もあります。
まとめ
- 300万円の借金の返済は基本的に自力では難しい
- まずは現状把握と返済計画の検討をしてみる
- 難しい場合はこれ以上悩まずに債務整理の相談をするのが望ましい
- 相談する先は司法書士や弁護士と言った専門家や自治体の相談窓口を活用する