「借金で困ったら任意整理」というのは一般の方にも割と知られてきていることではありますが、一方で「任意整理後の見通し」についてはよくわからない方が多いのではないでしょうか。
近年は「減額シミュレーター」という簡易な計算ソフトを債務整理業務の広告で出す士業事務所も出てきており、webサイトの広告で見たことある方もおられるのではないでしょうか。
「減額シミュレーター」の目的は債務整理の需要ある人との接点をもつためのツールなので、結果を表示するのに氏名・電話番号などが必要であり、実際利用した方の中でも個人情報の入力に躊躇してしまい結局結果がわからなかった方もおられるのではないでしょうか?
今回は、実際に300万円の債務がある方が任意整理した場合に月々の返済額がどれくらいになるのかをシミュレーションしてみます。
(実際の和解については以下でも説明しますが、個々の状況や借入れ状況、相手方の内部規則等によって変わってきますので、成果を保証するものではございません。)
300万円を任意整理した場合の月々の返済額シミュレーション
任意整理の場合、近年は必ずしも当てはまらないのですが、「和解日までの元利合計を、和解日以降の金利カットで60分割」というのが一つの相場になっています。
300万円を単純に60分割として計算すると月に5万円です。つまり、5万円程度は毎月欠かさず返済していけるかどうか?というのが任意整理を検討するうえでの一つの基準になります。
但し、以下のような事情があると交渉が不利になる可能性があるので注意する必要があります。
- 取引開始してから任意整理するまでの期間が短いケース
- 業者の中には36回~48回程度でないと和解しないと内規で決めている先がある
- 業者の中には「頭金」を要求することを内規で決めている先がある
- 滞納から長期間経過しており、任意整理に難色を示すケース
- 借入金額が少額で60回で分割すると月額が低額(3000円未満)になるケース
以上のようなことがあると、60回より短い回数で返済する(=月々の負担が大きくなる)ことになります。
ボーナス月加算の可否について
中には「年収のわりに月給は低いが賞与が厚い」という勤務先もあります。そうした方にはボーナス月増額を設けて月額を抑えるという方法も考えられます。
例えばですが、年2回のボーナスを各月10万円加算したとすると5年間で10回ボーナス月に余分に10万円払うことになるので全部で100万円、残った200万円を60分割すると月額3万4000円(ボーナス月はボーナス加算10万円と通常月3万4000円を足して13万4000円返済)となり、月額で言えば1万6000円削れています。
但し、ボーナス払いは認めてくれる業者とそうでない業者があります。また、ボーナスが想定通りに支給されない恐れもあるので、リスクを十分に検討する必要があります。
任意整理後の生活への影響は?
任意整理をした場合の生活への影響を気にする方も結構居られます。
ここではよく頂く質問として以下の点をご紹介します。
クレジットカードやローンは使えなくなる?
新規での契約はできなくなると考えていただく必要があります。
また、現在利用中のカードについては任意整理の対象にしていなくても、更新のタイミング等で使えなくなる恐れがあります。
賃貸契約や車のローンへの影響
現在締結している賃貸契約には特に影響しないです。任意整理したという事実は貸主(大家さん)は知る由がないためです。保証会社を利用している場合は、保証会社は認識する可能性がありますが、過去に任意整理を原因として保証契約を解消するような話をされた方は弊所ではおりませんでした。
但し、多重債務生活を送る中で家賃の滞納がある、頻繁にあるなどある場合は解消される恐れはあります。
新規で賃貸契約をする際には、賃貸契約そのものには影響しませんが、保証会社を利用する際に断られる可能性があります。指定の保証会社を利用できないことで結果的に借りたい物件に断られる…ということはあり得ます。
車のローンについては、基本的に今組んでいるものは支払いができていれば問題ないケースが多いです。一方で、新たな契約の締結は難しい場合が多いです。
上記の影響は「信用情報」が関わるもの
クレジットカードやローンの新規契約ができなくなる、賃貸物件を借りる際に保証会社に断られるというものはいずれも「信用情報」に任意整理したことが事故歴として記載されるためです。
事故歴の記載を嫌がって任意整理をためらう方もおられますが、事故歴は任意整理だけではなく、「滞納」によっても記載されます。従って、自転車操業を継続して滞納に至ってしまっても結果は一緒です。
任意整理を成功させるためのポイント
返済していけるかどうかを冷静に考える
ご相談いただく方の中には「自己破産は絶対したくないので任意整理したい」という方もおられますし、先程も述べましたが「信用情報に事故歴を載せたくないので自力で何とかしたい」という方もおられます。
これは任意整理でも自力で返すのでも一緒ですが、きちんと履行していけるかどうか?を検討する必要があります。
ご自身の人生にかかわる話になってくるので、一人で悩んでいてもなかなか結論が出ないことも多いです。一番怖いのは「悩んでいる間に事態が悪化してしまうこと」です。
借金のことで悩むのであれば、一度無料相談で司法書士・弁護士にご相談いただくのが良いかと思います。借金問題の解決はご自身の取組みも大切ではありますが、専門家に相談して適切な道筋を一緒に考えるのが近道であると考えています。
弊所は初回のご相談は完全無料でご対応させていただいております。
まとめ
- 任意整理の一つの目安は現在の債務を60分割
- ボーナス払いを出来る先はある
- 状況によって厳しくなる可能性がある
- 任意整理をすると信用情報が傷つくが、これは滞納しても同じ
- 悩んでいる間に状況が悪化することもある、早めに一度ご相談を