
住宅ローンが支払い不能になってしまい、せっかく購入したマイホームを売却するケースがあります。
当然住宅を購入した時には「手放すことを前提に買う人」はそう多くないと思います。
(なかば投資目的で不動産価格の高騰によって売却するケースはあると思います。)
近年はこういった人が増えているという話も聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか?近年の住宅ローンをめぐる背景と、住宅ローンが払えずに家を失うことを避けるための対処法について今回はご説明します。
住宅ローンが支払えなくなった人が急増しているのは本当か?
住宅ローンの支払い滞納については、住宅金融支援機構の「リスク管理債権」の数が参考になります。
これは、大雑把に言うと「通常通りの返済が出来なくなった債権」を指します。
令和3年~令和5年までの3年間で「リスク管理債権」の金額自体はほぼ横這いですので、一概に急増しているとは言いづらいかと思います。
昔から一定数払えなくなる人がいた、とも言えるかもしれません。
また、これは割合ではなくあくまでもリスク管理債権の金額なので、そもそも住宅ローンを組む人そのものが減っているという事情もあります。
なぜ住宅ローンが支払えなくなるのか?
住宅ローンの特徴として、きわめて長期間の返済を要する債務であるということがあげられます。
住宅ローンは35年程度で組むことが多いと思いますが、35年というと人生の大体半分です。人生の半分を付き合うような長期の債務であるがゆえに次の点に注意する必要があります。
- 先々を見据えて、無理のない計画を立てる
- 突発的な事情が発生しても耐えられる返済計画を立てる
- 頭金を入れるなどして、最悪の場合でも住宅を売却すれば返せるような計画にする
住宅ローンが支払えない要因としては、「収入が増えなかった・減った」「支出が思いのほか増えた」「離婚することになったから」などだと思われますが、現実的に返済が難しいような内容でローン契約しているケースもあり、住宅販売側や金融機関側が販売や貸付の実績を作るために無理やり組んだローンなのではないかと疑念を抱くようなケースもあります。
また、借主の平均寿命を上回るような返済期間を設定しているケースもあります。このケースでは「退職金で一括すればいい」と考えて契約しているのですが、実際に景気のあおりで退職金の支給がされなかったという方もおられるのではないでしょうか。
近年特有の影響としては以下のようなことがあげられます。
- 新型コロナウイルス感染症の流行(パンデミック)による収入減
- 働き方改革による残業代の減少に伴う収入減
- 物価高騰による家計の支出の増加
- 資材高騰、人件費高騰の影響による住宅価額の高騰(ローンを組む総額の増大)
これらの事情により、返済が滞るケースは少なからず存在します。
住宅ローンの返済が難しくなったときにすべきこと、してはいけないこと
すべきこと
- 住宅ローン債権者(銀行等)に返済計画の見直しの協議をする
- 家計支出を抑えることを検討、実行する
してはいけないこと
- 他の業者から借入れして返済に充てる
- 何もせず滞納する
個別に見ていくと、住宅ローンは他のローンに比べて債権者が相談に応じてくれる可能性が高いです。なぜなら、住宅ローンについては金融庁がガイドラインを出しており、「金融機関は基本的に相談に応じるように」という記載があります。
ただ、相談する以上は自身の生活を見直すことも検討しなくてはいけません。
家計収支を改善するように努力はすべきです。
逆にしてはいけないこととしては、まず他からの借入れがあります。なぜかというと、その月は借入れでやりすごせますが、翌月以降は住宅ローンと借りたお金をダブルで返済する必要があるためです。
また、何もせずに滞納すると、金融機関側は相談に応じない可能性が高まるのできちんと期日前に相談すべきでしょう。
住宅ローンにはほぼ全て抵当権が設定されているので、万一返済不能が続くと競売にかけられる可能性があります。
強制競売の前に任意売却という選択肢もありうる
基本的には住宅を維持する方向で考えたい方も多いと思いますが、今後も含めて返済していくのが難しい場合は任意売却という方法は考えられます。
任意売却とは、住宅ローンの債権者(銀行等)の承諾の下で競売にかけられる前に自宅を売却してしまう方法です。
売却代金は住宅ローンに充てられます。仮に住宅ローン債務が売却代金を上回る状態(オーバーローン)の場合は残債務は返済する必要があります。
任意売却のメリットは競売と異なり自分が主導権を握って手続きを進められるため退去の準備をある程度落ち着いて行うことができること、売却代金が競売よりも高値になる可能性が高いので住宅ローンの返済に充てられる額が増えることがあげられます。
住宅ローンの返済でお困りの場合はご相談ください
弊所では住宅ローンをかかえながら、他の債務にも苦しんでいる事案を多数処理しております。
債務整理、任意売却ご検討の場合一度ご相談ください。