
「自己破産すると、借金はどこへ?」
「誰かが肩代わりして払ってくれるの?」
「保証人がいる場合はどうなる?」
「借金がゼロになるっていうけど、そんな都合のいいことはあるの?」
インターネットも発達し、様々なコンテンツで「借金」について取り上げられているためか、自己破産について色々調べてお問い合わせくださる方が増えています。
結論をいうと、原則として自己破産における借金は、誰も支払う必要がありません。しかし場合によっては、支払い義務が残ったり、保証人が肩代わりすることもあります。
この記事では、「自己破産の借金は誰が支払うのか」をテーマに、自己破産をしても支払うものや、保証人への影響について詳しく解説します。
目次
自己破産で借金がなくなる理由と、誰も支払う必要がない仕組みについて
自己破産の手続きが完了すると、多くの借金が免責(払わなくていい)され、誰もその借金を支払う必要がなくなるのは、何故でしょうか?
自己破産の目的と仕組み
自己破産制度は、支払不能に陥った人について
「返済不能状態にあることを裁判所が宣告」(破産)して、
「財産を全て処分」(残余財産の配当)して、
「残った債務を返さなくてよいと宣告」(免責許可)することで新たなスタートを切る機会を与えることを目的としています。
なぜ誰も支払う必要がないのか?
【債権者の同意】
自己破産の手続きは、債権者の同意を得て行われるものではなく、裁判所の判断に基づいて決定されます。裁判所は、債務者の財産状況や返済能力などを総合的に判断し、免責を許可します。
債権者は意見を述べることはできますが、債権者の意向や状況には関係なく手続きが勧められます。
【財産の処分】
自己破産の手続きでは、債務者が保有している財産(現金、預金、不動産など)を処分し、その売却代金を債権者に配当します。
但し、一定の範囲内(現金を除く財産を全てあわせて99万円まで)であれば、財産を保持しておくことができます。また、左記の財産額が20万円に満たない場合は管財人の選任がされず簡易な手続き(同時廃止)で手続きが進みます。※札幌地裁の場合
また、家財道具などについては財産に原則含まないので、通常の生活に支障をきたさないことが多いです。
【法的な根拠】
自己破産は、破産法という法律に基づいて行われる手続きです。この法律では、一定の条件を満たせば、借金を免責することができる旨が定められています。
自己破産はお金持ちが得をする?
自己破産の手続きでは、債務者が保有している財産をすべて処分するため、お金持ちとされる人(一般にお金もあるが債務も多い人)の場合は、むしろ経済的・実生活上での損失を伴います。
自己破産が認められるための条件
自己破産が認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
支払不能の状態にあること | 現在の収入と資産では、借金を返済できない状態であること。 |
免責不許可事由に該当しないこと | 虚偽申告や不正な財産隠し、浪費など、免責が認められないような行為をしていないこと。 |
自己破産しても借金を払う必要がある場合:保証人について
自己破産をしても、借金そのものが消える訳ではありません。
ちょっとややこしい話ですが、「債務は残るが本人は返さなくてもよくなる」ということになります。その結果債権者は債権を放棄(貸倒れ)にしてしまいます。つまり、債権者が損をすることになります。
この話で 注意すべき点としては、保証人(連帯保証人含む)がいる借金は、自己破産しても保証人が代わりに返済しなければならないということです。(借金が消えるわけではないので他に払うべき人がいれば払わなきゃいけません。)
保証人とは、本人が借金をした際に、もし本人が返済できなくなった場合に、代わりに債権者に返済することを約束した人のことです。通常、家族や親族が保証人になることが多いです。
身近な保証人を付ける債務の例として「奨学金」や「家賃保証」があります。
保証人は自然人(生物学上のヒト)以外に法人(会社)がなることもあります。家賃の保証の場合、多くは「保証会社」と入居時に契約しますが、保証会社はここでいう保証人になります。
通常、保証人が代わりに払ってあげたら、後で本人に「代わりに払った分を払って」と請求する権利があります。
しかし、自己破産するときは保証人も対象にして手続きを行うので、本人は返さなくてよいということになります。
この場合は、保証人が本人に対して請求する権利はあるけど、本人は払わなくていいという許可がされている状態なので、最後に損をするのは保証人です。
【注意】自己破産しても支払い義務のあるもの一覧
自己破産をしても、全ての借金が免責されるわけではありません。免責されない債務を「非免責債務」と呼びます。免責されないのですから、自己破産の申立てが終わっても返していかなくてはいけません。
税金や社会保険料(公租公課) | 国民年金、健康保険料など、国や自治体への税金や社会保険料は、自己破産しても支払う必要があります。 |
罰金 | 犯罪行為によって科せられた罰金は、自己破産しても支払う必要があります。 |
損害賠償 | 悪意による不法行為に基づく損害賠償、慰謝料は支払う必要があります。※ここでいう悪意は「故意に相手方を傷つけようとした」という悪質なものをさします。 |
養育費や婚姻費用 | 将来にわたる子供の養育費や、配偶者への婚姻費用は、自己破産しても支払う義務があります。但し、過去に滞納していた分は免責されます。 |
従業員の給料 | 会社経営者が自己破産した場合、従業員の給料は、一定の範囲内で支払う義務があります。 |
自己破産を検討する判断基準
メリット・デメリットの比較
自己破産以外に選択の余地がない場合はメリット・デメリットを比較して決めることはできませんが、自己破産かどうかがボーダーライン上にあり際どいケースでは比較検討することがあります。
ここでは、自己破産したときのメリットが、デメリットを上回るかどうかを考えてみましょう。
【メリット】
- 借金の返済義務から解放される
- 債権者からの取り立てが止まる
- 精神的な負担が軽減される
- 新たなスタートを切ることができる
【デメリット】
- 信用情報に傷がつく
- 財産が処分される
- 職業や資格に制限がかかる場合がある
- 保証人に迷惑がかかる
- 周囲の目が気になる
- 手続きに時間がかかる
借金が年収の3分の1以上ある
一般的に、借金の総額が年収の3分の1を超える場合は、自己破産を検討する必要があると言われています。
借金が年収の3分の1を超えると、自己破産を検討すべきと言われる理由としては、たとえば以下の点が考えられます。
- 【生活が圧迫される】収入の大部分を返済に充てなければならず、生活費を確保することが難しくなります。食費、住居費、光熱費などの基本的な生活費を削らなければいけなくなり、生活水準が著しく低下する可能性があります。
- 【将来への不安】いつまで返済を続けなければならないのか、将来への不安が大きく、精神的な負担が大きくなります。
- 【新たな借金への道】生活が苦しくなり、別の借金に手を出す可能性も高まります。
自己破産の流れ
自己破産の手続きは、裁判所を介して行われるため、司法書士か弁護士へ依頼することが一般的です。専門家に依頼することで、手続きがスムーズに進み、精神的な負担も軽減されます。
自己破産の手続きにかかる期間は、ケースによって異なりますが、通常6ヶ月~1年半程度かかります。
①問い合わせ
簡単に現状と相談したい内容、今後どうしたいかなどを伺って必要に応じて面談予約を承ります。(事案によってご面談できない場合もあります。)
当事務所の場合、フリーダイヤル、問い合わせフォーム、LINEからお問い合わせ可能です。問い合わせフォーム、LINEは24時間365日年中無休で受け付けしております。基本的には24時間以内の返信を基本としています。(担当者の状況等によって対応時間を要することがあります。)
②初回面談
現状の把握: 借金の総額、種類、返済状況などを詳しく説明します。
手続きの説明: 任意整理、個人再生、自己破産など、それぞれのメリット・デメリットを説明してもらいます。
最適な手続きの提案: 現在の状況に合わせて、最適な手続きを提案してもらいます。
当事務所では初回のご相談は「完全無料」でお受けしています。
③委任契約の締結
債務整理の手続きを依頼することを決めた場合は、委任契約を締結します。
④債権者への通知
弁護士または司法書士から、債権者に対して、債務整理手続きに入った旨を通知します。この通知によって、債権者は本人へ直接連絡することができなくなります。
⑤費用の積立て・申立て書面の作成
破産費用は高額であるため、換価処分できる財産を処分して費用が捻出できない場合には毎月積立することになります。そのため、時間がかかります。
その間に申立てに要する書類を集めたり作成したりします。
⑥自己破産申立て
裁判所に申立書を提出します。
ここから先の流れは「同時廃止事件」か「管財事件」かによって異なってきます。
裁判所によっては⑦開始決定の前後に裁判所に申立人を呼び出す(審尋)こともあります。
※札幌地裁の場合、令和2年のはじめまでは審尋があるケースがありましたが、新型コロナウイルス感染症の流行拡大以降は行っていないようです。(弊所では例がありません。)
⑦破産手続きの開始決定
裁判所が、あなたの申立てを認め、破産手続きを開始する決定を出します。この決定が出ると、正式に自己破産の手続きが始まります。
⑧管財人の面談・財産の調査・換価処分・債権者集会
管財人が選任された場合、申立人の財産が調査され、売却できるものは売却されます。得られたお金は、債権者に配当されます。
但し、同時廃止事件の場合は「換価する財産がない」ということが開始決定の時点で判明しているので、この手続きは行われません。
⑨免責決定
裁判所が、免責を認める決定を出します。この決定が出ると、借金の返済義務がなくなります。
自己破産後の暮らし
自己破産をすると、その後、どういった暮らし方になるのでしょうか。不安なこともあるでしょうが、実は、これまでの生活とほとんど変わりません。
自己破産後の生活で変わる点
【借金の返済から解放される】
一番大きな変化は、借金に追われる生活から解放されることです。債権者からの取り立てや督促を受けることもなくなり、精神的な負担が大きく軽減されます。
【信用情報に傷がつく】
自己破産の情報は、一定期間、信用情報機関に登録されます。そのため、クレジットカードの作成やローンを組むことが難しくなり、現金での支払いが必要になることが多くなります。
【職業制限】
一部の職業、例えば弁護士や司法書士など、高い信頼性が求められる職業に就くことが制限される場合があります。
【財産の処分】
一定以上の財産は処分され、債権者に配当されます。処分される可能性が高い財産は、以下の通りです。
- 不動産: 土地、建物、マンションなど。
- 動産: 車、バイク、家具、家電製品、貴金属、骨董品など。
- 金融資産: 預金、株式、債券、投資信託など。
- 債権: 貸付金、売掛金など。
自己破産後の生活で変わらない点
【日常生活】
食料品の購入、公共料金の支払いなど、日常生活を送ることは可能です。
【仕事】
信用情報に傷がつくとはいえ、多くの場合は従前と同じ仕事ができます。
【新しい財産】
自己破産後も、新たに財産を築くことは可能です。
自己破産で家族に影響を与えることはある?
自己破産が家族に与える影響は、状況によって異なりますが、原則として、家族の財産や信用情報には直接的な影響を与えません。
家族の財産への影響 | 自己破産は、原則として本人名義の財産にしか影響を与えません。家族名義の財産は、通常は処分されません。 |
家族の信用情報への影響 | 家族の信用情報に直接的な影響を与えることはありません。 |
ただし、自己破産が間接的に家族に影響を与えることもありますので、留意しておきましょう。
- 生活水準の低下
- 精神的な負担
- 社会的な評価
- 連帯保証人の返済
わたしたちは借金が返せないことを責めません!
借金が返せない人の多くは、一人で不安や苦しみを抱えこんでいます。
「債務整理」は、法的に認められた、債務者の救済措置です。堂々と利用すべき制度なのですが、なかなか「相談」という一歩に踏み出せない人がいます。
なぜ、借金の悩みを打ち明けることができないのでしょうか?
その根本は、
「借金を返せないことは、大人として恥ずかしいこと」
という思い込み、偏見があると考えています。
借金というのは、悪いタイミングが重なることで、誰だって返済できなくなるリスクがあります。旅行、結婚式、葬儀、事故や入院などの予期せぬ出費……。
誰しもが、ちょっとした油断、間の悪さで、あっという間に返済額が膨れ上がり、気づけば「来月の返済額が給与をオーバーしている!?」といった状態になるのです。
ですから、わたしたち札幌債務整理相談センターは、借金を返せなくなった人を、責めることはありません。
債務整理の最大のメリットは、メンタルに余裕ができること!
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