支払いが出来ずに放っておいたら「聞きなれない債権回収会社」から請求書が届いてしまった…というご相談があります。
日常生活でクレジットカード会社や銀行消費者金融といった会社は広告等で聞きなれているものですが債権回収会社は基本的に広告していることはないので普段は触れることがありません。従ってそういった会社に請求を受けてしまうと「まずいことになってしまった」と不安になってしまったり「架空請求か本当の請求かわからない」と思ってしまうことがあります。
今回は債権回収会社から請求を受けてしまった場合にどう対処すべきか?無視した場合にどんなリスクがあるのか?についてご説明します。
1.そもそも債権回収会社とは?
債権回収会社(サービサー)とは法務大臣が【債権管理回収業の営業の許可】をした会社で金融機関等から債権回収の委託(代わりに回収してもらう)や債権譲受(「お金払ってください」という権利を譲ってもらう)によって債権を回収する民間会社です。
実は許可要件はかなり厳格で「資本金5億円以上の株式会社であること」や「常務する取締役に弁護士がいること」といった要件があります。
従って正規の債権回収会社は法にのっとって厳格に運営されています。
詳細は法務省 債権管理回収業の営業の許可をご覧ください。
2.債権回収会社から請求を受ける場面とは?
先程も触れましたが大きく分けると2通りのパターンがあります。
⑴ 債権の回収を委託された場合
主に信販会社や携帯電話会社最近では後払いサービス等の少額決済サービスでも未納が生じた場合に債権回収会社に委託(代わりに催促や訴訟の対応をしてもらう)することが多いです。
⑵ 債権譲受によって自ら債権者となった場合
債権とは「お金を返してください」という権利のことですがこの権利は人に譲ることが出来ます(債権譲渡)。債権回収会社が未納になった債権を買い取って自ら請求していくこともあります。債権を譲る会社は銀行系カードローン・消費者金融・信販会社・携帯電話会社・少額決済サービス会社いずれもあります。
⑴⑵いずれの場面においても「それなりの期間滞納している未納代金がある」という状態であるといえます。
3.債権回収会社からの請求はどう対処すればいいか?
⑴ 請求の内容が正当なものかを確認する
まず受けている請求の内容を確認してみましょう。債権回収会社からの手紙が来た場合は恐らく「どこの会社の何の未納代金か」が記載されていると思います。その内容を確認して身に覚えがあるかどうかを検討します。
身に覚えがない場合でも債務がないということの証明はできないのでしっかりと確認する必要があります。一方でその手紙が架空請求である可能性も否定できません。もしそのような場合は手紙に書いている電話番号ではなく債権回収会社のホームページ等で電話番号を確認したうえで電話してみる方法もあります。但し電話を掛けた際に支払いの約束などをしてしまうと消滅時効の中断が生じて不利になる可能性があるので支払いの約束はしないようにするなど工夫が必要です。
ただ中には携帯電話のショートメッセージや電話で督促をする会社もあるためその場合にはご自身で内容を確認する必要があります。自分から電話をかける場合には繰り返しになりますが「必ずホームページ等で電話番号を確認してから発信」するようにしてください。
⑵ 請求の内容が正当であるが支払いができない場合
請求の内容自体は身に覚えがあっても支払いができない場合もあります。例えば「給料日になれば払える」などの事情であればご自身で対応も容易かと思います。債権回収会社は怖いイメージがあるかもしれませんが先ほども述べたように法務大臣からの許可に基づいて厳格に運営する必要があるためある程度は話を聞いてくれる可能性があります。
ただ直近での支払いが難しく分割の相談を要する場面では話し合いに応じない可能性はあります。
⑶ 何もせず無視するのが一番良くない
払えないからといって無視をするのは得策ではありません。なぜなら後で詳しく述べますが訴訟提起や債権回収のための訪問等が行われる可能性があるためです。
また債権回収会社に委託もしくは譲渡がされているということは既に従前の支払期限からはそれなりに期間がたっている場合が多いので放置しておくと損害金も高額になる可能性があります。
4.債権回収会社の請求を放置するリスク
債権回収会社の請求は放置するのは以下のリスクがあります。
⑴ 債権回収に特化しているため督促が厳しくなる可能性がある
必ずしも適切な言い方ではありませんが金融機関信販会社等にとって債権回収は「数ある業務の一つ」です。従って割く事のできるリソースは必ずしも多くはありません。また訴訟提起や差押え訪問等の回収活動についても予算が決まっているものと思われます。
一方で債権回収会社の場合はまさに「債権回収をすることが本業」です。そのため他の債権者に比べて督促が厳しくなることが考えられます。
⑵ 訴訟提起等差押えを受ける可能性が高い
訴訟提起や差押えの手続きについても裁判所に出向く必要があるなど労力がかかりますが債権回収を専門にしている業者であればハードルも低いと言えます。
訴訟提起された場合に対応しないと差押えを受けるリスクが生じてしまいます。必ず対応をする必要があります。
またある債権回収会社は譲り受けた債権については消滅時効が完成する期間が経過していてもお構いなしに支払督促の申立てをしてくることがあります。これについては督促異議を出して「本書で消滅時効を援用する」と記載すれば当該債権回収会社は取下げをしてきて対応が終わることもあるのですが放置しておくと時効の完成までの期間がリセットされてしまう恐れがあります。
判決や仮執行宣言が付与された支払督促が出てしまうと差押えのリスクがあり給与差押えを受けると勤務先に債務の存在が判明してしまうことになります。
5.債権回収会社から請求を受けた場合は債務整理も視野にいれてみる
債権回収会社から請求を受ける状況になってしまった場合は先ほども述べたようにそれなりに期間が経過している場合が多いです。従って信用情報には既に滞納の旨の記載がされていると思われます。そのため債務整理することのデメリットの一つとして挙げられる信用情報に事故歴が記載されるというものがありますがこのデメリットは消えている状態です。
特に債権回収会社から請求を受けたもの以外にも債務がある場合はそれらも含めて整理することで多重債務状態を脱することが可能です。
6.まとめ
- 債権回収会社は法務大臣の許可を得て事業を営む会社
- 一方で債権回収会社をかたって行う詐欺もないとはいえないのでしっかりと確認する
- 債権回収会社の請求を無視することは危険
- 時効であるにも関わらず請求する債権回収会社もある
- 司法書士や弁護士に債務整理を依頼することで解決する可能性もある
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