「結婚した(しようとしている)人がローンを組めない人だった」というご相談を頂くことがあります。ローンを組めない理由はいろいろあるので一括りにはできませんし,そのお相手の人間性を左右するものではないのですが,実際上「ローンを組めない」という制約はその後の生活にも少なからず影響を及ぼします。
今回は「結婚した(しようとしている)人がローンを組めない人だった」場合に,その後の生活にどんな影響があるか?解決法はあるのか?についてご説明していきます。
1.「ローンを組めない人」の定義と理由
ローンを組めない要因は貸付けを申し込まれて審査をした債権者しか正確な理由はわからず、また、なぜ組めない(審査に落ちた)のかは開示してくれないので、実のところその理由を知る由はありません。
ただ、一般論として『信用情報』が影響している可能性が高いと思われます。いくつかのケースにわけてご説明します。
⑴ 過去に滞納したことがあり滞納歴が残ってしまっている
この場合は、基本的に完済して5年間は過去の滞納歴が信用情報に残るので、その間はローンを組みづらい状況であるといえます。この場合は、信用情報機関の運用を変えることはできないので一定期間経過を待つしかありません。
⑵ 過去に滞納した債務が現在進行形で未済である
この場合は上記⑴と異なり現在も未納があるため、未納を何らかの形で解消する必要があります。未納の解消方法としては、弁済のほかに時効援用や自己破産・個人再生といった法的整理による方法も考えられます。
注意しなければいけないのは、「必ず完済する必要がある」ということです。例え少額であっても残債務が残っている状態だと信用情報には滞納が残り続ける恐れがあります。その場合、上記⑴で述べたように滞納が解消された時点から一定期間記録が残り続けてしまうため、ローンが組めない期間が延びてしまいます。
⑶ 滞納はしていないが既に収入状況からして限界と思われる債務がある場合
滞納はしていなくても審査の結果、既に収入と比較して相応に債務がある場合は貸付けを断られることがあります。これは新規の貸付けを受けようとする際に貸す側の金融機関や信販会社が信用情報を確認してどれだけ債務があるかを調べるためです。この場合は既に借入れ状況が客観的に見れば飽和している状態であるため新規のローン契約は難しいものと思われます。業者によっては審査を通す可能性はありますが、最終的に返せなくなる可能性もありますので慎重に検討すべきです。
⑷ その他の要因と注意点
自営業等収入が安定しない場合や在籍確認が取れない場合などが考えられますが、最終的に貸付ける側からみて、何か要因がある可能性はあります。
その場合、別な業者に申し込みをするという方法は考えられますが、信用情報には直近6か月で参照してきた業者の履歴も記載されますので、やみくもにローンを申し込もうとすると「あちこちに申し込みをしている人」という悪い見られ方をする可能性があります。
2.ローンを組めない夫・妻であることの影響
⑴ 配偶者自身にデメリットはない
ローンを組めない人と結婚したからと言って、結婚した側の人(配偶者)の信用情報には何の影響もありません。従って、配偶者の方がそれによってローンを組めなくなることはありません。
⑵ 家族カードの貸与は可能
クレジットカードの中には「家族カード」というものがあります。これは、契約者が自身の家族にカードを貸して、その人に自分の名義で自由に使わせることが出来るというものです。例えば、専業主婦の妻に自分名義の家族カードを貸すことによって、本人が不在の時でも妻が食料品・日用品等の支払いを本人名義のカード(家族カード)で買い物ができます。メリットは契約者自体は本人(貸している人)なので利用状況等は常に把握できることがあげられます。デメリットは貸しているカードで本人の意に反するような買い物をされる恐れがないとはいえないこと、そして利用したカードの返済の責任は本人にあることがあげられます。
なお、余談ですが、便宜上家族カードではないカードを家族に貸すのを見かけますが、カードの利用約款に反すると思われますので、家族にカードを貸したい場合は必ず家族カードを利用するようにしましょう。(実際にお店のレジなどにも「ご本人以外のカード利用は受け付けない」という注意書きがされていることがあります。)
⑶ 大きな買い物(住宅・自動車など)をするときにローンを組めない
実際にご相談いただく場合に一番多いのが「住宅ローンを組みたいが、配偶者がローンを組めない」というものです。住宅ローンや自動車ローンの場合は貸す金額が大きいことから審査が厳格であることが多いです。従って、結婚した相手の方が収入が多い場合においては、収入が多い人が契約する必要があります。収入の多い側の方の信用情報の状態が悪いと事実上これらのローンが組めないという状態になります。
また、夫婦共働きであっても、「ペアローン」や連帯保証人になる場面などで信用情報が引っかかってしまい契約できないということはあり得ます。
実際には、なぜ審査が通らないかは冒頭で述べたようにわからないのですが、インターネット等では以下のような話が飛び交っています。
- 信用情報に滞納歴があるから
- 信用情報から抹消されても過去に滞納歴がある場合ずっと契約できない
- クレヒス(クレジットヒストリー)がないから、つまりクレジットカードを持っていないから
などなど、情報が錯綜しています。現実的な話をすれば真偽のほどは定かではありません。
3.ローンを組めない人がローンを組めるようになる方法
再三述べた通り、「なぜ審査に通らないのか?」がわからない以上確たることは言えません。つまり、ローンを組めるようにする明確な方法はないということです。ただ、信用情報に記載されている情報が要因になっている可能性は十分にあり得ます。「審査を通るようにするため」というよりは、「審査が通らないと思われる要素を取り除く」という意味で信用情報の記載事項を検討する価値はあると思われます。
⑴ 信用情報を取得してみる
信用情報はご自身で取得して中身を見ることが可能です。各信用情報機関(CIC、JICC、全銀協)に申し込みをすることで取得できます。方法は各信用情報機関のホームページをご参照ください。
⑵ 滞納債務が残っている場合
信用情報を取得して、残債務が残っている先がある(滞納の記載がある)債務があった場合、それを解消しないと信用情報が回復する可能性が低いです。従って何らかの方法で解消していく必要があります。
解消する方法としては、弁済をすることも一つの方法ですが、長期間滞納している債務であれば消滅時効を援用して債務を消滅させるという方法も考えられます。
また、長期間滞納している債務の場合は利息・遅延損害金が膨れ上がって高額になっていることも考えられます。一括払いであれば、元金若しくはそれに近い金額で和解してくれる業者もあると思われます。
ほかに、自己破産や個人再生(法的整理)を行って、債務の全部もしくは一部を免責してもらう方法も考えられます。法的整理も免責許可決定や再生計画の履行完了から一定期間経過で信用情報から抹消されますので、最終的には滞納歴が消えることになります。
⑶ 使っていないカードの契約が多く残っている場合
クレジットカードにありがちですが、使う訳ではないけれども店で勧められた等の理由でカードを契約するケースが考えられます。そういった「使っていないカード」もしっかりと信用情報には記載されています。そうしたカードを解約して整理するという方法も考えられます。
4.まとめ
- ローンを組めない確たる理由はわからない
- 基本的にローンを組めない人と結婚しても悪影響はほとんどない
- ただし、住宅ローン・自動車ローンなどを組めずに困る可能性はある
- ローンを組めない理由の一つに「信用情報」の状況である可能性があるので、信用情報は確認してみる価値はある
- 信用情報で滞納があるのであれば対処する必要がある
- 信用情報から滞納歴を消す方法は弁済以外にも消滅時効援用や自己破産・個人再生と言った方法がある
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