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【2024年7月最新版】債権者の業界動向について その1

弊所が日頃債務整理業務を通じて得た情報を基に消費者金融業界・債務整理業界の最近の動向を全2回でお話しさせていただきます。

その1では近時の債権者の債務整理に対する対応について、実際の事例を交えてお話します。

本稿に記載の事項は、一部当事務所の推察も含まれます。また、個別の業者名については開示していませんので、ご了承ください。 

また、実際の債務整理による成果については個別具体的な事情によって異なります。詳しくはお問い合わせいただき、必要に応じてご面談を通じてお示しできればと思います。

業界の流れとして以前に比べ厳しくなっている

最近の動向を一言でいうと、「以前に比べて債務整理に対して相当厳しくなってきた」というのが実情です。特に任意整理の場面においては、それを強く感じます。

任意整理の場合、数年前までは以下のような条件で和解出来ることが多かったです。

  •  総額は和解日までの経過利息込みの金額 
  •  将来利息は免除 
  •  返済回数は基本的に60回以内、超過する場合要相談 

でした。

近時は消費者金融の場合、大手の消費者金融の場合以下の条件を付してくるケースが多くなりました。

A社 総額は和解日までで将来利息は付加しないが原則36回以内(個別事情による)

B社 基本的には総額は和解日までの総額、60回以内は絶対(超過はほとんど認めない)

C社 将来利息は原則付加したうえで48回以内

D社 将来利息は原則付加したうえで60回以上でもある程度は対応

(※具体的な社名については公表は差し控えさせていただきます。和解条件については目安であり個別具体的な事情により有利になったり不利になったりします。)

また、信販系の会社は消費者金融系に比べると条件が優しい先が多いのですが、近時は以下のようになっています。

  • 60回を超える回数については難色を示すようになった
  • クレジットカード等の立替払いについては内容によっては厳しい対応を取ってくることが増えた(浪費、換金行為等)

これらの要因については以下のような理由があると思われます。

⑴ 安易な債務整理の依頼、受任が増えたこと

債務整理を取り扱う事務所の広告が広がってきたこと、特にSNS等の媒体でも頻繁に見かけるようになったことから、依頼者と士業事務所が繋がれることが増えたといえます。それ自体は問題ないのですが、安易に依頼しようとする依頼者と受任しようとする士業事務所があることは、業者側からすれば問題です。なぜなら、債務整理をされてしまった時点で「業者としては見込んだ売上(利息による収入)が減る」ということになってしまうため、業者としては損をすることになってしまいます。

特にまずいのは、「債務整理を依頼する、もしくは依頼を検討している段階」で限度額いっぱいまで借入れする、新たな借入れの契約を締結する行為です。

当事務所でも、契約直後に債務整理を依頼したいとご相談を頂くことがありますが、基本的に債務整理は最終手段であり、業者に対して利息(自己破産、個人再生の場合は元本の全部もしくは一部)を踏み倒すことになり、不適切と捉えられかねない状況の方もおられます。

弊所ではこういったご相談については受任は控えたり、任意整理の場合は不適切な利用をした先を外して受任する場合もあります。受任しても費用対効果の合う結果が出ない可能性が高いことや、訴訟提起等受けてしまいかえって不利な立場になってしまう恐れがあるためです。

(※もちろんやむを得ない事情がある場合等についてはお受けしています。)

⑵ 長期分割による任意整理の結果、返済不能になる事案の増加

債権者からすれば将来利息が回収できない債権の回収は言わば「敗戦処理」のようなものです。表現は適切ではないかもしれませんが、業者にとっては「利益を生まないものに管理コストをかける」状態になります。

それに加え、近年は特に任意整理しても履行がされないケースも増えているようです。

このような状況では管理コストはかかるうえ、未収リスクも解消されないことになり、業者側から任意整理に応じるメリットが少なくなっているようです。

実際に弊所でも和解交渉時に「いっそのこと、自己破産・個人再生しても構わない」と言われたことがあります。管理コストをかけるくらいであれば、早く貸倒れにしたいという実情もあるのではないかと推測されます。

⑶ 「悪質」と捉えられるような借入れ、利用が増えた

最初から債務整理するつもりで利用したうえで債務整理を依頼するのは悪質ですが、ご本人として悪意がないにも関わらす、悪意があるとみなされてしまうような利用が最近多いように思います。具体的に言えば以下の通りです。

① 換金行為

クレジットカードや金券、ipad、iphone、ゲーム機などを自身で利用する意思がないのに立替払いで購入して、未開封のまま売却して金銭を得ることを指します。

「クレジットカードの現金化は合法」とうたっている古物商の広告を見かけますが、実際にはクレジットカード約款に抵触する行為であること、自己破産の場面では免責不許可事由にあたる行為であること、返済不能であるにも関わらず立替払いを利用するのは刑法上の詐欺にあたりかねないことを考慮すると絶対に行ってはいけません。

特に立替払いの場合、債権者側はどこで買い物をしたのか、金額はいくらかを容易に把握できますので、怪しい買い物については察しがついています。

実際に弊所では、以下のような事例がありました。

➊ クレジットカードを債務整理の受任日当日までコンビニで利用していた件

「明らかに債務整理する意図で利用していたもの」として業者から指摘を受けました。少額であったので、すぐに直近の一定期間内の利用分は一括で返済し、残について任意整理することになりました。

➋ 同一の電子機器を複数購入し換金した件

直近の日付で複数回にわたり同一の電子機器を複数購入していたケースでした。更にこの契約では「所有権留保付き契約」で完済前に転売することは認められていなかったのですが、換金してしまっていました。

業者から「無断で処分した機器代金を一括で支払わない限り和解しない」と言われてしまいました。

② 浪費

上記に付随して、明らかに浪費とわかるような使途であった場合厳しい和解条件になる場合があります。

実際に同日に複数の飲食店(キャバクラ・ホストに類するもの)を利用し、最後にタクシー会社の利用が複数確認されたケースで、「やむを得ない事情(生活費など)のある利用とは考えられない」として厳しい和解条件をつけられたケースがありました。

③ 借り逃げ

借入れて間をあけずに債務整理を依頼した場合、当初から約束を反故にするつもりで契約したと判断されるケースがあります。

実際に契約⇨借入れした日に債務整理を依頼した事案では、受任通知到着直後に弊所に電話が入り苦情を言われました。借入金について利息を付して直ちに返済する用いわれました。また、間をあけずに訴訟提起を受けてしまいました。このケースでは、弊所に「来る直前に契約した借入れがある」ことを伺っていなかったこと、借入れ金については来所前に費消してしまっていたため、先方の要求(一括弁済)に応えることが出来なかったため対応に苦慮しました。

⑷ 過払金返還請求が落ち着いたこと

過払金返還請求は通常の債務整理とは逆で、「こちら側から業者に金銭を請求する」ものです。つまり、士業の側が依頼者の立場になって「債権者」の立場になることが平成の中期以降増えてきました。

業者にとっては過払金返還は予期せぬ支出であったことから、何とか減額を勝ち取ろうと裁判で色々な法的主張をして業者有利の判決を取ろうと苦心しました。また、訴外・訴訟上の和解においても債務整理を扱う士業事務所に何とか減額した返還額で応じてほしいと、いわゆる「泣き落とし」のような交渉も多く展開されました。

ほか、過払金返還請求が多かった当時は、大手消費者金融の不当な取り立て等の問題や多重債務による自殺者の増加など業者側にとっては何かと逆風が多かった時代でした。

そういった背景もあり、業者側も債務整理を受任した士業に対して強く出られなかった、という面もあるのではないかと推察します。

現在は過払金返還請求の数も減少していると思われ、また、時効になっている返還請求権も相応にあると思われるため、以前よりも士業事務所に忖度する必要がなくなったという事情もあると推察します。

⑸ 早期の訴訟予告、訴訟提起が増えた

自己破産や個人再生申立てのように時間がかかる事案でも早期に訴訟提起に踏み切ったり訴訟予告を仕掛けてくる業者が以前に比べ増えてきました。

これは、士業事務所側にも問題のある場合がありますが、受任から長期間進展のない案件が多いことにも起因しているようです。一般に自己破産や個人再生は費用の積立てや申立ての準備、債権の確定等で依頼者側に負担がかかるケースも多く、時間がかかるのは当然と言えば当然なのですが、中には依頼者との共同作業がうまくいかず長期にわたり案件が停滞することがあります。

どちらが原因の場合もありますが、債権者からすると長期間放置されることで管理コストがかかるという面があること、債権の消滅時効が5年で完成してしまう可能性があることから一定期間経過し特段の事情がない場合は訴訟提起に踏み切る、予告するということがあります。

弊所では自己破産・個人再生の申立ては原則1年以内を目標に取り組んでおります。