借金の影響で収支バランスが崩れてしまい、年金の支払いを滞納してしまうと、将来受給できる年金や自分の財産に影響が出てしまうため注意が必要です。
厚生年金に加入しているような一般的な会社員や公務員の人であれば、社会保険料は給料から天引きになるので、勤務している限り未納になるという心配はありません。
しかし、失業などで一定期間職を失った人や自営業などの人が経済的な理由により年金が払えなくなってしまうケースは少なくありません。
この記事では、年金が払えない場合に利用できる制度や、年金の支払いを滞納することで起こるリスクについて解説します。
年金保険料が払えない場合に利用できる免除・猶予制度
前年の所得が一定額以下である場合、年金保険料が免除や納付猶予になる制度を利用するという手段があります。
免除制度
本人をはじめ、世帯主や配偶者の前年所得が一定額以下、もしくは失業した場合に申請することで、年金保険料の支払いが全額免除もしくは一部免除になる可能性があります。
免除を受けられる前年所得の基準と、それに対する免除の割合は以下の表のとおりです。
免除される割合 | 免除を受けられる前年所得の基準 |
---|---|
全額免除 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 以内 |
4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 以内 |
半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 以内 |
4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 以内 |
扶養親族控除額とは、所得税において扶養親族の人数によって所得控除が受けられる金額を指し、一般的に1人あたり38万円です。
社会保険料控除額とは、年金保険料や健康保険料などの社会保険料を納めた金額を指します。
納付猶予制度
20歳以上50歳未満の人で本人や配偶者の前年所得が一定以下(保険料の全額免除と同様)の場合は、審査により納付猶予を受けることができます。
猶予期間は受給資格期間に算入されますが、免除の場合とは異なり受給する年金額には反映されません。反映させるためには保険料の追納が必要です。
払えない年金を滞納し続けることで起こるリスク
年金保険料を納付しないまま滞納を続けると、将来の年金受給や自身の財産に関して、次のようなリスクを抱えることとなります。
年金受給資格を失う
年金保険料を滞納していると、いざという時に遺族年金や障害年金を受け取れなくなる可能性があります。遺族年金は、国民年金や厚生年金に加入していた人が亡くなった際に、その遺族に支給される年金です。一方、障害年金は、病気やけがにより働けなくなった人に支給されるものです。
もし、自分が突然亡くなったり、重いけがを負って働けなくなったりしたときに、これらの年金が受け取れないと、自分だけでなく家族や遺族の生活が厳しくなる恐れがあります。滞納を防ぎ、必要な支援を受けられるようにすることが重要です。
将来受け取る年金が減る
国民年金保険料の納付は法律で定められた義務であり、同時に65歳以降に老齢基礎年金を受け取るための重要な権利でもあります。老齢基礎年金の受給額は、納付した月数に基づいて計算されます。
基本的には、20歳から60歳までの40年間、すなわち480か月分を納付することが求められます。この期間中に未納の月があると、その分だけ受け取る年金額が減額される仕組みになっています。滞りなく納付することが、将来の安定した生活のために重要です。
財産が差し押さえられる
年金保険料を滞納し続けると、まずは書面での督促が行われます。これを無視していると、最終的には財産の差し押さえが行われる可能性がありますが、いきなり差し押さえが実行されることはありません。以下に、差し押さえまでの具体的な流れを説明します。
差し押さえまでの主な流れ
1.書面での督促
年金を滞納すると、最初に書面での督促が送られてきます。これは一度だけでなく、何度も繰り返し送付されるのが一般的です。この段階で支払いを済ませれば問題はありません。
2.特別催告状の送付
書面での督促を無視していると、次に特別催告状が送られてきます。この催告状も無視し続けると、最終的に最終催告状が届きます。
3.最終催告状の送付
最終催告状が送られてきた場合でも対応しないと、差押予告通知書が届きます。
4.差押予告通知書の送付と差し押さえの実行
最終的に差押予告通知書が送られ、その後に差し押さえが実行されます。この段階では、強制的に財産が差し押さえられることになります。
差し押さえられる財産
年金滞納による差し押さえの対象には以下のものが含まれます。
- 給料
- 預貯金
- 不動産
- 自動車
- 貴金属や宝石
- 有価証券
年金保険料を滞納している場合は、差し押さえが実行される前に速やかに納付することが重要です。
借金が原因で年金が払えない人は債務整理も検討
借金やクレジットカードの支払いが大きく影響して年金の支払いが困難な収支状況になってしまった場合、債務整理を行うことは生活を改善するために重要な選択肢になります。
債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
以下では、それぞれの特徴について簡単に解説します。
任意整理
任意整理とは、司法書士や弁護士が代理人として債権者に「返済計画の見直し」を求めて交渉し、将来利息や毎月の支払金額を減らしてもらえるようにする債務整理の方法です。元々の約束通りの返済が難しくなったため再契約を締結するイメージです。
一部の債権者のみを対象と出来るので、自動車や不動産を手放すことを避けられるメリットがあります。
任意整理について詳しく見る個人再生
個人再生は,民事再生法に基づき裁判所に申立てをして借金の返済計画について認可を受けることで、負債を一定の基準で圧縮し、将来の利息をカットして原則3年間(特段の事情がある場合は最長5年間)で返済する手続きです。
個人再生では、将来の利息がカットされるだけでなく、借金の総額が減る(一部免責される)ことに意義があります。
全ての債権を再生債権に含む必要がありますが、一定の要件を満たせば住宅資金特別条項を設定することで、例外的に住宅ローンは含めなくてよく、マイホームを維持できる可能性があるというメリットがあります。
個人再生について詳しく見る自己破産
自己破産とは、破産法に基づき「裁判所に破産申立てを行うことで借金を免責(ゼロ)にする」ことを求めて裁判所に申立てをする手続きです。
多額の借金により経済的に破綻してしまい、自分の資産では完全に弁済できなくなったときに最終手段として残された方法として位置します。
債務の全てが免責になるという点が自己破産の最も大きなメリットですが、一定の財産(不動産、一定の価額がつく自動車、返戻金が高額な生命保険など)を破産費用に充てたり破産財団に組み入れされる(=手放さなければならない)ということには注意が必要です。
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