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自己破産・個人再生を申立てる際は要注意!これも債務なの?

自己破産や個人再生はその性質上,一部の債権を対象とすることができません。従って,全ての債権者を対象とする必要があります。

これは債権者は基本的にみんな平等であるという「債権者平等の原則」を考えれば妥当なのですが,実務上はすべての債権者を対象とすると困ったことになることがあります。例えば住宅ローンや自動車ローンのように担保(所有権留保)がついた契約であればその目的物(住宅や自動車)が債権者に引き上げられてしまいます。

一般的にご依頼者様に「債務は何がありますか?」と聞くと,大体は銀行(住宅,自動車ローン,カードローン等),消費者金融,信販会社等を上げられることが多いです。

しかし,ご依頼者様をはじめ一般の方は「これは自分の債務」と認識していない債務もあります。指摘すると「それも債務なの!?」と驚かれることもあります。

注意が必要なのは,自己破産や個人再生を申立てを決めたとき(すべての債務を約定通り返すのが不可能と判断したとき)以降に特定の債務だけ返済をしてしまうと「偏頗弁済」といって,自己破産の場合は免責不許可事由に抵触する重大な行為になってしまうということです。

今回は,一般的に「債務」と認識していないものの,実は債務であって,自己破産や個人再生申立ての際は手続きに含むものを紹介します。

これらの債務の特徴としては,前述の住宅ローンや自動車ローン同様に「手続きに含めると基本的に困る場合が多い」ということが言えます。自己破産や個人再生申立てを検討する際にはお気をつけください。

奨学金

奨学金とは,高等学校や専門学校,大学等に通う際に学費および学生生活における生活費として借り入れるものです。

日本学生支援機構が代表的なものですが,ほかにも自治体や団体等で幅広く色々な種類のものがあります。給付型の場合は「貰ったもの」という扱いになるので返還義務はありませんが,ほとんどの奨学金は「貸与型」ですので返還義務があります。

奨学金を自己破産・個人再生に含める場合の注意点としては,「保証人」がついている可能性があることです。

日本学生支援機構の場合は「人的保証」か「機関保証」を選択することができます。このうち,「機関保証」を選択した場合は保証人はいない(保証機関が保証を行う)のですが,「人的保証」を選ぶと父母のどちらかが「連帯保証人」,父母以外の親族が「保証人」になることになります。後者の場合,債権者は3者(日本学生支援機構・連帯保証人・保証人)として3者とも手続きに含める必要があります。

ほか,自治体等が貸主となっている奨学金は原則として父母および本人が連帯債務を負っており,ほかに保証人をつけることが多いので,日本学生支援機構における「人的保証」と同じような状況と言えます。

携帯電話端末・通信端末等の分割債務

携帯電話を契約する際,あるいは機種変更する際に組む「端末代金」やインターネット契約の「工事料金」の分割債務も債務の一種であって手続きに含める必要があります。

これらの特徴は毎月発生する携帯電話料金やインターネット料金に含まれて請求されているほか,いわゆる「実質無料(〇円)」という謳い文句があるように,債務は毎月一定額負担しているものの,その債務の全部もしくは大部分が「通信基本料金」から値引かれる手法がとられています。利用明細を見てみると,分割債務の額が請求額に計上されていると思います。

これらの債務を自己破産・個人再生に含める場合は注意が必要です。会社によっては「分割債務」と「毎月の利用料金」は別個に取り扱ってくれる先もあるのですが,ほとんどの先は「通信契約ごと解約」されてしまうためです。そのため,受任の際にどのように取り扱うかを検討する必要があります。

後払い決済サービス

近年,携帯電話アプリでの後払いサービスが多くあります。クレジットカードと違い信用情報を審査されることなく,手軽に少額の限度額(多くて月に数万円程度)内で利用できます。例えば近所に買い物に行く際に「財布を持たずに」出かけることができるほか,クーポンがつくなどお得度も重なり利用者が増えています。

しかし,これらも「立替金の一種であるとして債権に含むべき」と裁判所が判断することが増えています。携帯電話の利用料金に上乗せされるサービスもありますが,これも同様に解されることがありますので注意が必要です。

弊所では,これらが債務とみられてしまうと申立てがスムーズに進まない点や,毎月の収支を資料から見やすくする観点から,これらの利用を停止していただくようお願いしています。

家賃や光熱費の滞納分

毎月発生する家賃や光熱費を支払うのは問題ないのですが,滞納しているこれらのものは債務とされるので,手続きに含める必要があります。ただ,これらを手続きに含めるよう取り扱うと,立ち退きを請求されたり,ライフラインが停止されてしまったりする恐れがありますので慎重に対応する必要があります。

親族、友人、同僚、勤務先等近しい相手からの借入れ

債権者であるかどうかは業者であるかどうか,本人と債権者の間柄はどうかは基本的に考慮されません。よって,仮にこれらの者に対しての債務があったとしても,手続きに含める必要があります。

この場合,業者等と違い,本人は日常生活で関わる頻度が高い方が債権者になるので,隠れて偏頗弁済を迫られたり,行ってしまいがちです。

まとめ

今回は自己破産と個人再生の申し立てについて解説しました。最後にポイントを振り返りましょう。

この記事のポイント
  • 自己破産,個人再生を申立てる場合は「すべての債権者」を対象とする必要がある
  • 保証人がついている債務については,「保証人も債権者として含め」手続きする必要がある
  • 携帯電話やインターネット契約で生じた債務や,家賃光熱費の滞納した債務がある場合,手続きに含めると強制解約される恐れがある
  • 後払いサービスは申立てを決めた後は利用しないのが好ましい
  • たとえ親族,友人などの近しい間柄でも債権者であることは変わらない