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自己破産で「財産隠し」が意図せず起こってしまった場合の対処法

自己破産で「財産隠し」が意図せず起こってしまった場合の対処法

「どうにも借金が返せない…」そんな状況の方は自己破産や個人再生といった法的整理によって債務整理することになります。

法的整理の場合は裁判所に対してご本人の財産状況について詳細に報告する必要があります。財産を有しているにもかかわらず借金の全部もしくは一部を免責にするのは道義的に許されないためです。

ところが、法的整理を決断してから自分の知らない財産を有していたことが判明したり、入ってきたりすることが実際にはあります。そういった場合、どうなるのでしょうか?いくつかのケース分けで検討していきます。

ABOUT ーこの記事を書いた人ー

かぬま ひろみつ
神沼 博充

札幌債務整理相談センターの相談・交渉・書類チェックを担当する司法書士。平成20年頃から債務整理に携わる大ベテラン。借金問題を解決するだけでなく、借金をつくらない暮らしを提案し、相談者と二人三脚で歩むことを心がけている。

本記事は、あくまでも掲載時点における一般的な内容を紹介したものです。本記事を参照し、何らかの選択をした場合に発生する結果については一切責任を負いかねます。個別具体的な事情についてはお近くの司法書士や弁護士等へご相談ください。また本記事に含まれる事例は、弊所でご相談いただいた事案について、本人が特定されないように情報の一部を加工しております。あらかじめご了承ください。

大前提として「財産隠し」は絶対にNG

大前提として「財産隠し」は絶対にNG

裁判所や専門家にバレないだろうと考えて財産を持っていることを知っているのに隠す行為は絶対にいけません。自己破産の場合は破産法252条1項で財産隠しを行った場合には免責不許可になると定められているほか、刑法上の「詐欺破産罪」に問われる可能性もあります。

裁判所としても財産隠しを見落として免責許可(借金をチャラにしてしまうこと)するわけにはいきませんので全力で調査されます。

また、実際にどのような事案でどのような手口でこういったことが行われるかは熟知していますので、正直に申し出るべきであるといえます。

当然ながら、当事務所で受任した案件でも、申し立て前にしっかり確認させて頂き、このような行為が発覚した場合には辞任することもあります。

(1)債務整理のときに認知していない財産があった場合

(1)債務整理のときに認知していない財産があった場合

債務整理を受任する際、当事務所では財産状況のお聞き取りをしっかり行ったうえでお受けしています。しかし、それは聞き取りベースの話に過ぎないのでご本人にその認識がない場合には漏れる可能性があります。

一般に債務整理で申立てまでに要する期間は早くて半年、通常1年前後です。その間に何度か申立てに要する資料や生活状況をお伺いしたうえで様々な観点から調査をしていくことになります。ご本人が普段気づかないような些細な点でも何かあれば掘り下げていき、財産が見つかった場合には再度方針含めて協議していくことになります。

自己破産の場合は、処分可能であれば換価処分し申立て(この場合、換価した金銭については破産財団に組み入れ=破産管財人の費用や債権者への分配など)に充てられます。また、現実的に当該財産が処分できないものであれば方針を個人再生や任意整理に切り替える必要があります。

個人再生の場合は財産を有している=処分を要するとはなりませんが、財産相当額(清算価値といいます)を再生債権として返済する必要があるため、当初の見立てと異なることがあります。その場合に返済が履行可能かを検討する必要があります。

(2)債務整理中に財産が手に入ってしまった場合

(2)債務整理中に財産が手に入ってしまった場合

当事務所で実際にあった事例としては「相続が発生してしまい、債務整理中に相続財産が入ってきた」というケースです。この場合には以下の点に留意する必要があります。

➀裁判所で見られる「財産額」は基本的に法定相続分相当額であること

例えば、「自分は法的整理するので、どうせこの財産貰っても債権者にたくさん持っていかれてしまうのでちょっとだけくれればいいよ」というような遺産分割をしてしまうと、あとで困ったことになります。

何故なら「本来貰う権利があるものを放棄した」ということになるためです。実際の遺産分割協議の際はその親族らとの関係性や財産の状況(分けることが容易な金銭や預金債権が多いのか、分けることが困難な不動産が多いのか…等)によって変わってくるためです。

法的整理の場面での財産額の計上はそれらの事情は基本的に考慮されないので、もし申立て準備中にこのような場面にあったら協議を纏める前に依頼している専門家に相談しましょう。

②相続放棄は問題ない

例えば先ほどの例で、「財産は不動産が大部分を占めていて、かつその不動産には遺族が継続して居住し続けるので相続しても共有持ち分を処分できない」といった場合には家庭裁判所に相続放棄の申立てをするという方法があります。相続放棄は身分行為であることから、仮にどれだけ財産の有る被相続人の相続を放棄したとしても法的整理に影響することはありません。

但し、相続放棄をしておきながら、実は内々で「法的整理の手続き終わったらなにがしかの財産を受領することを約束する」などの行為は先ほど述べた免責不許可事由や破産詐欺罪に問われる可能性がありますので絶対にやめてください。

また、「私は相続放棄した」と言っているが、実際に家庭裁判所には申立てしていない方がおられます。確かに「財産を受け取らない」という結果だけ見れば一緒ですが、それは相続手続きをしていない、もしくは遺産分割協議において自身が財産を受け取らないという内容で合意したことであって法的に有効な相続放棄ではないことから、この場合は相続放棄したとはみなされませんので注意が必要です。

③相続手続き未了の財産がある場合は注意

知らないうちに誰かの相続人になっていたというケースが考えられます。受任時に必要に応じて失礼ながらお伺いすることもあるのですが、次のような方の場合は要注意です。

  • 既にご両親が他界している
  • 現在のご両親以外に実父、実母、養子縁組を解消していない養親がいる

上記のような場合、被相続人が亡くなったことを認知しづらかったり、本来相続人になるはずである方が既に死亡していることから「代襲相続人」ということで本来は相続人にならないのに相続人になっているケースが考えられます。

他にも親族の中で疎遠になっていてどうしているのかもわからないといったケースでは知らないうちに相続が発生している場合がありますので、注意が必要です。

(3)手続きが完了した後に財産を得た場合は自由にできる

(3)手続きが完了した後に財産を得た場合は自由にできる

相続が代表的な例ですが、法的整理の手続きが終了してから相続が発生した場合にはどうなるのでしょうか?

自己破産の場合は裁判所が開始決定を出した以降に得た財産は「新得財産」という扱いになります。これは破産財団に組み入れる必要がないので、自由に処分可能です。個人再生については再生計画の認可決定後の新得財産については清算価値に計上しなくてもいいことになります。

但し、いずれの場合も相続の場合は相続発生日(死亡日)、その他の例では権利の発生日(当該財産を得られる権利を得た日)になります。相続で例示すると「遺産分割の日」や実際に財産を入手した日(「金銭を受領した日」や「相続登記を入れた日」)ではありませんので注意が必要です。これらの報告を適宜行わない場合、やはり法的に問題が生ずるところですので、何か事情が変わったときはすぐに依頼している専門家に相談しましょう。

まとめ

POINT ーこの記事のまとめー
  • 大前提として財産隠しは絶対にいけません。
  • 「気づいていない財産があった」ということを回避するためにも専門家とは密に打ち合わせをするべき。
  • 相続が発生し放棄する場合にはちゃんと家庭裁判所で放棄をする。
  • 居所や近況が不明な親族がいる場合は特に要注意。
  • 手続きが終了した以降に得た財産は手続きに組み入れる必要はない。