債務状況次第では、返済能力の問題から、自己破産を余儀なくされてしまうケースもしばしばございます。
しかし、状況によっては、自己破産を回避し、想定以上の早さで借金を全額返済できるチャンスも現実に起こり得ます。
キーワードは、「過払い金」です。債務が膨れ上がって返済不可能なレベルにまで陥ってしまったとしても、過払い金でお金が戻ってきますので、それを返済資金に充てることも十分に可能です。
そこで今回は、札幌債務整理相談センターで実際にあった解決事例についてご紹介しましょう。
40代で借金だらけ……収入減で窮地に立たされた債務者のAさん
まずはAさんのプロフィールからみていきましょう。
借金の返済で首が回らないAさん(40代男性)
- 一人暮らし
- 20代のころから消費者金融で貸借りを継続的にしてきた
- 40代に入ったころに、体調不良で退職
- 退職金は100万円ほど入ったが、無職の期間に使い果たしてしまった
- 現在は派遣社員、勤続1年を経過
- 現在の手取り月収は15万円、ボーナスはなし、もともとの月収に比べ10万円ほど下がってしまった
- 減少した収入の穴埋めに元々持っていたクレジットカードの利用が増加
- 気が付けば債務は消費者金融3社100万円、クレジットカード2社で100万円の計200万円
- 生活費を考慮すれば、月々捻出できる返済可能額は2万円程度
Aさんの借金内訳
消費者金融a社 | 50万円 |
消費者金融b社 | 40万円 |
消費者金融c社 | 10万円 |
クレジットカードd社 | 50万円 |
クレジットカードe社 | 50万円 |
合計 | 200万円 |
自己破産も視野に……Aさんの厳しい債務状況
さて、Aさんの置かれている状況は、はっきりいうとなかなか厳しいものでした。
任意整理したとしても、月3万円程度は返済にかかると思われることから、自己破産も視野に入れなければなりません。
そこで札幌債務整理相談センターの司法書士はAさんに対して、「ひとまず債務の全容を調査して、返済可能な金額で話し合いが進められるか検討しましょう」と伝え、債務調査が終わった段階で再度連絡することにしました。
債務調査とは、借金の状況を調べる調査のことです。司法書士が債権者に対して受任通知を出すと、債権者から「わたしはあなたの依頼者に対してこれだけの債権(貸し)がありますよ」という旨を伝える「債権届」と呼ばれる書類が送られてきます(貸金の場合はこれに加えて「取引履歴」が発行されます)。
まさかの急展開!過払い金があることで借金がわずか5万円に
債権届が全ての債権者から届いた時、司法書士はあることに気づきました。
それは、「Aさんには過払い金がある」ということでした。
過払い金の仕組みについては省略しますが、Aさんの実際の債務状況は以下の通りでした。
消費者金融a社 | 過払い金:30万円 |
消費者金融b社 | 過払い金:40万円 |
消費者金融c社 | 10万円 |
クレジットカードd社 | 15万円 |
クレジットカードe社 | 50万円 |
合計 | 過払い金(戻ってくるお金):70万円 債務:75万円 |
上記の通りなので、Aさんが実際に返さなければならない債務は差し引きでわずか5万円だったのです。これにはAさんは大変驚いていました。
早速司法書士は、消費者金融aと消費者金融bに対して過払い金返還請求を行い、戻って来た過払い金と足りない5万円を3か月かけて積立てをして上乗せして一括で返済しました。
これでAさんは自己破産することなく早期に借金を返すことが出来ました。
最近は少なくなってきていますが、継続的に取引している方であれば、このような事例もあります。
内容によって過払い金の方が多かったり、債務のほうが多かったり人に依りますが、いずれの場合でも債務の解消や圧縮、過払い金の回収につながるのでメリットがあると言えます。
過払い金で気を付けるべきこと
一方で注意すべきこととしては、今回のAさんのように返済に窮しているケースでは問題ないですが、特に返済に窮していない際に司法書士が入ってしまうと信用情報に一時的にでも事故情報が載ってしまいます(「ブラックリストに載る」と解釈してください)。
その場合は、
- ご自身で過去の取引履歴を取得する
- 完済後に過払い金調査のために司法書士に依頼する(この場合は事故情報が載りません)
のいずれかの方法で対応すべきかと思われます。
また、過払い金については、平成22年よりも前に取引があった方に存在する可能性があり、それ以降に取引を開始したケースですと存在しません。
過払い金があったとしても取引が途中で分断(一度完済したケースなど)していたり、完済から10年経過していると民法上の消滅時効にかかってしまい回収できない可能性があります。
個別具体的な件については、ぜひ一度、札幌債務整理相談センターまでご相談ください。お電話・LINE・メールにて受け付けております。