一般的に「ブラックリストに載った人」は各種ローンやクレジットカードの契約,さらには携帯電話の分割払いでの購入が出来ないと言われています。
ところが,インターネット上では「ブラック(リストに載った人)でも借りられる正規の消費者金融がある」という記事(いわゆる「まとめサイト」が多いです)を見かけます。実際のところどうなのでしょうか?
【この記事を書いた人】
神沼 博充(かぬま ひろみつ)。札幌債務整理相談センターの相談・交渉・書類チェックを担当する司法書士。平成20年頃から債務整理に携わる大ベテラン。借金問題を解決するだけでなく、借金をつくらない暮らしを提案し、相談者と二人三脚で歩むことを心がけている。
【内容まとめ】
- 一般の銀行や大手銀行はブラックリスト者に貸してくれない
- しかし中小の消費者金融いわゆる「街金」は審査を通す可能性がある
- 「滞納が解消されている」「任意整理」「自己破産」「個人再生」など、現時点で滞っている債務がないのであれば街金から借りられるかもしれない
- ただし街金は「独自の審査」があるためリスクには要注意
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1.そもそもブラックリストとは?
公式に「ブラックリスト」というものは存在しません。但し,金融会社やクレジットカード会社(以下「業者」と表現)は正規業者の場合,「信用情報機関」という組織に加盟しており,新規契約や更新の際にこの信用情報機関に登録されている信用情報を照会します。
信用情報には「どこの債権者から」「いくらの融資を受けて」「きちんと返済がなされているか」「自己破産や個人再生がされていないか」などが記載されています。
滞納や自己破産,個人再生などの「約束通りの返済が出来なかった履歴」が残ってしまうのです。
一般的にこのことを「ブラックリストに載る」と言います。今回はわかりやすく説明するために,以下も統一して「ブラックリストに載る」という言い方でお話を進めていきます。
2.ブラックリストに載っていてもお金を貸す正規業者はあるのか?
一般的に銀行,信用金庫,大手の業者はブラックリストに載っていると問答無用で審査を通しません。
つまり,貸してもらう・カードを作ることが出来ない状態です。
但し,中小の消費者金融(いわゆる「街金」などと呼ばれます)は正規の業者でありながら,信用情報に記載されている事項によっては貸してくれる場合があります。
この場合「滞納」の状態であればまず貸さないと思われますが,「滞納が解消されている」場合や「任意整理」,「自己破産」,「個人再生」など,現時点で滞っている債務がないのであれば貸すケースがあるようです。
つまり,「闇金」と呼ばれる無登録業者でなくとも借入れ自体は可能であると言えます。
3.「独自の審査」に対するリスクに注意
では,何故中小の消費者金融はブラックリストに載った人にお金を貸すのでしょうか。
それは,「貸したお金の回収に自信がある」ということに尽きると思われます。
一般的に信用が低い人にお金を貸すわけですから事前の審査でも勤務先の把握や家族構成など大手の業者以上の情報を得るケース(いわゆる「独自の審査」などと言われるものです)が多く,借りた側から見ても「絶対に逃げ切れない」と考えて無理してでも返済してしまうケースもあります。
また,過去に自己破産や個人再生をしたことがある人の場合,再度の申立ては原則として難しいと思っていることから,専門家に相談できないというケースも考えられます。
業者によっては専門家に何らかの業務を依頼した段階で即訴訟提起してくるような先もあります。
実際に,弊所でもこのような業者から借入れして返済が滞ってしまった方のご相談を多くお聞きしてきましたが,ほとんどの場合「お金に困ってインターネットで色々調べていたところブラックでも借りられるという記事を見つけて申し込んでみたら審査に通った」というケースでした。
返済が可能であれば必ずしも利用が悪いことではないのですが,最終的に多重債務に陥ったり,返済不能に陥るようなことになれば,ブラックリストに載る以前よりも状況が悪化してしまいます。
特に任意整理や個人再生など「現在もブラックリストに載る前に作った債務の返済をしている場合」は,より慎重に検討すべきです。
4.もしお金のことで困ってしまったら…
一概にベストな方法を示すのは難しいのですが,まずは公的な支援制度や貸付け制度を検討してみるべきだと思われます。また,家計の見直しを行うことで支出を減らすという方法も考えられます。
また,任意整理の返済中に返済が難しい状況に陥った場合については,安易な借入れをせず一度ご相談いただければと思います。
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