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新型コロナウイルス感染症の影響により借金返済が困難な方へ(令和5年9月)

新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」という。)の影響で多くの方の生活が変わってしまって3年半が経過しようとしています。令和5年5月に「指定感染症5類相当」となったことで、ようやく一区切りついた、という状況です。

報道では来年の3月まででワクチン接種の無償化の終了、医療費についても通常通り原則3割負担とする方針が示されるなどしています。どこで終結と考えるかは人によって異なるところもありますが、少なくとも社会全体を見れば事実上終結している、あるいは終結に向かっているといえます。

一方で、コロナそのものとは別に、コロナの影響で債務を抱えてしまった方、増えてしまった方については明るい兆しが見えません。

1.コロナによる収入の影響について

正規職員・契約社員(フルタイム)等で勤務されていた方で多いのが、「残業代の減少」、「賞与の支給額の減少・停止」、「雇止め(就労先の閉鎖、倒産含む)」などがあげられます。恒常的に残業が発生し、それが給与に占める割合が多かった方の場合、減収でローン返済が困難になったという事案もあります。

パート・アルバイト等で勤務されている方は、「出勤日数の減少」や「雇止め」が多く、ほかに「子供の学校が臨時休校する」などの理由で出勤できず給与が下がってしまったという事案があります。

最大の問題点としては、これらの事象がコロナ流行初期から3年強もの期間継続していることがあります。社会全般を見れば平時を取り戻しつつあるような状況ではありますが、未だ収入については戻らない方もおられます。

2.コロナ禍での借金問題への対応について

住宅ローンについてはリスケ(一旦返済を利息のみとして返済月額を抑え、予定通り減らなかった元本部分については、収入が戻り次第再度返済計画を立てる)で凌いだ方もおられたようです。

その他のローンについてもコロナ初期については債権者側も柔軟に対応することがあったようですが、平時を取り戻している今は当時ほど緩く対応することは少なくなっているものと思われます。

社会福祉協議会の貸付金や消費者金融などの無担保融資を受けておられた方も多いようです。

表現は不適切かもしれませんが、コロナ初期は「その場しのぎ」的な対応が債務に限らず色々なところであったように思います。これは、ここまで長期化することを想定していなかったことにあるのでしょう。

3.コロナ終結後の借金問題について

コロナが終結したとしても、元の収入が戻ってこないという場合もあろうかと思われます。また、コロナ禍で債務が減らなかった方や、債務を増大させてしまっている方がどのように解消していくのかという問題は極めて難しい問題です。

 

コロナが流行しはじめた令和2年と翌令和3年については自己破産の件数がそこまで増えませんでした。恐らく債権者側のリスケや社会福祉協議会の貸付、給付金等もあり、「特殊な社会」であったがゆえの救済措置に救われた側面もあります。

 

ただ、コロナが終結した後については厳しい状況に陥るのではないかと思われます。これは、これまでリスケしてきた既存のローンが通常通り若しくは通常+遅れ分の取り戻しでの返済が再開し、同時にコロナ禍で増えた債務(前述の社会福祉協議会や、コロナによる困窮で借入れした債務)の返済も両立しなくてはならない状況になるためです。

 

単純に返済の額がコロナ前よりも増えるわけですから、真にコロナ前と同じ収支にするにはコロナ前よりも収入が増えていないと厳しいのですが、収入は増えていない、あるいは増えたけれども返済のほうが大きく事実上マイナスであるという状況はありうることです。また、コロナとは直接関係ありませんが、物価高の影響もあろうかと思います。

 

今の状況を見て、収支の見通しが厳しいようであれば早めに手を打っていく必要があります。

4.アフターコロナにおける借金との向き合い方

日本国内での政策、諸外国の情勢を見ても、コロナ禍はほぼ終結しています。そのため、現時点で債務が有る方は今一度ご自身の状況を良く把握しておく必要があります。

特に、債務はあるけど現在においても返済を免除若しくは減額している方については「元通りになったとして返済していけるのか?」を考える必要があります。以下の方については要注意です。

コロナ禍で社会福祉協議会や銀行・消費者金融等からの借入れが増えた

②現在においても最低限の返済をすることが難しく、毎月借入れと返済を繰り返している

これらの方については、安易に現状を継続していると多重債務に拍車がかかる恐れがあります。多重債務解決の最終手段は自己破産ですが、特に住宅や自動車がある場合これらを処分する必要が出てくるので実生活においても極めて悪影響を受けてしまいます。

そのため、現時点で特に返済不能状態ではなくても、上記①、②の状況にある場合は一度ご相談いただければと思います。債務整理が必要かどうかはさておき、今後計画的に返済していかないといずれ立ち行かなくなる恐れがあるためです。

弊所の無料相談では、債務整理の方針検討、受任の他にも、債務整理によらず返済していけそうな方については債務整理しないで解消できるようにアドバイスにとどまることもあります。借金のことは誰かに気軽に相談できる性質のものではなく、また専門的な知識も要します。ぜひ一度ご相談ください。